2006年12月14日

おまけより割引してほしい

今回は、おまけより割引してほしいという本です。タイトルを見て、なぜおまけより割引の方がいいの?と思うわけですが、なぞはすぐ解けます。

値ごろ感 = 価値(Value)/費用(Cost)

の式に当てはめると、たとえば、500円の商品に100円のおまけをつけるか、100円値引きをするかといった場合、おまけが500+100/500=1.2であるのに対し、割引は500/500-100=1.25となり、値ごろ感は割引の方が高いことになります。まぁ、一概には言えないと思いますが、論理的に説明されているので納得せざるをえません。

吉野家の値引き
「限界効用逓減の法則」により、300円から290円、290円から280円、280円から270円への値下げだと、おつりは、ゼロ円、10円、20円、30円となるが、おつり金額の伸び率を見ると、無限大、2倍、1.5倍となり、効用が最も高くなるのは280円のときである。

マズローの欲求階層説
生存欲求(若年時)->安全欲求->同調(社会)欲求(就職)->優越欲求(中年期)->自己実現欲求(リタイア・老年期) 損失回避という安全欲求のために、価値獲得(おまけ)より割引。 不況期には欲求全体が下層シフト、好況期には上層シフト。 「衣」は不況期にはカジュアル、好況期にはフォーマル。 「食」は不況期には必需の食事、好況期には娯楽的な食事。

クレジットカード
現金は失う実感が最もあるもの。現金は最も失いたくないもの。クレジットカードは現金と比べてお金を失う感覚があいまいである。

定価販売は・・・
江戸時代に越後屋を開いた三井家の祖、三井高利が「現銀掛け値なし」という新商法を編み出したことに端を発する。価格表示のない時代は、売り手が絶対有利で「掛け値」、吹っかけた値段で商売をしていた。庶民が裕福になり、支払い能力に限界のある庶民向けに、求めやすい公正な価格を表示する必要に迫られ、定価が導入された。

御殿場にアウトレット
価格の高い商品ほど時間を気にしない。価格が高いものを買うときには時間費用は相対的に小さいが、価格が低い場合は、時間費用が大きくなるため、時間が気になる。アウトレットモールに行くのは高額ブランド商品をディスカウント価格で買うため。コンビニで高額商品を置いても売れない。

埋没費用(サンクコスト)
負担感は損失回避・現状維持という意識と結びつく。何らかの価値があるものを少しでも失う可能性があることは避けたい。政治の世界で既得権にこだわるのもこのため。スーツのディスカウントセールが成功したとしても、翌年同じ時期に同じセールをしても意味がない。スーツの耐用年数は1年以上。埋没費用が発生しないように、スーツのグレードを変えるとか、種類を変える必要がある。

ベストセラー
分子の高い価値と分母の低い費用の組み合わせからなる高い値ごろ感。多くの人が使っているという安全欲求を満たし、目立つ商品であれば、優越欲求を、さらには自己実現欲求にもつながる。

フリーペーパー
ついで(費用ゼロ)だからこそ値ごろ感を生む。フリーペーパーが通路から外れたところにおいてあるのはだめ。コンビニで有料誌のとなりにおいてあると比較されてしまう。置くとすると入り口の外。

衝動買いするのは男性
購買経験豊富な人は的確に価格と品質を見分ける識別眼を持っているから、衝動買いはしにくい。家計にタッチしていると目的買いをするため、衝動買いしにくい。「かね勘定」よりも「かね感情」

日本とアメリカ
日本は目玉商品販促方式、アメリカはEDLP(everyday low price)。

衝動買いを誘う仕掛け
ディスカウントショップの商品レイアウトは一見乱雑であるが、突然思いがけないところに気持ちをそそられる商品を置く。購買経験の乏しい場合が多い。売り手にとって注目すべきは買い手よりも買い手の「連れ」である。自分がお金を払わないため、負担感がほとんどない。

カーセールスでは最初にフル装備車を
最初に見せたフル装備車が基準となる。最初にフル装備車を見ておくと、下位機種を見ると何かが減った感覚が生じる。最初に最下位のベーシック車を見るとフル装備車までたどりつかない。「お試し」は最大価値を実感させることにより、いったん感じた値ごろ感を失いたくないという心理を逆手に取った高騰テクニック。

ジャパネットたかたのポイント
「金利・手数料ジャパネットたかた負担」「クレジット支払い」「おつりの出る価格設定」「商品価値の大きさの具体的な示し方」 TVという販売媒体のじかに実物を提示できないという限界を超えて、買い手の心を動かす仕掛けが必要である。

商品の配置
高(価格)遠(距離)長(時間)または安近短。入り口から奥に行くにしたがって、だんだん価格帯が高くなるように配置する。客をひきつけるための売り場を除けば、高額なものは高い階、低価格のものは低い階。

売り場は右回り
店舗の入り口は左側。左回りの場合、スピードをあげて売り場を一周し、あまり買わないですぐに出て行かれてしまう可能性が高くなる。入り口の右にあるエスカレーターは二階にすぐに行かせたいため。

徳田賢二先生は専修大学経済学部の教授で、この本は、「消費者の業態・店舗選択行動と企業経営戦略との整合性」という研究の成果のようです。値ごろ感がどのように形成されるのか、大変読み応えのある本でした。また、ネット販売の場合、商品を直に見せることができません。そのため、何かしらの仕掛けが必要となるわけですが、ジャパネットたかたの「商品価値の大きさの具体的な示し方」というのは重要だと感じました。いかに値ごろ感を生み出して、商品を買ってもらうか考えなくてはなりませんね。

おまけより割引してほしい―値ごろ感の経済心理学おまけより割引してほしい―値ごろ感の経済心理学

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